21世紀美術館の円は、高さを抑えていることや、透明なガラスになっていることから、限りなく存在感を消そうとしている。
館の中央には、円形の展示室も設置しているが、やや偏心しており、円がもつシンボリックな性格をいささかも強調しない。
実際、館内を歩くと、全体の輪郭線が円であることを忘れてしまう。
例えば、日本のかたちを地図で知っていても、いくら移動しようと、その形態を実感できないように、むしろ館内では、さまよう感覚に身をゆだねることになる。
きわめて現代的な建築でありながら、古代的な空間を連想させるという点では、展示室もそうだ。
例えば、ほぼ一二メートルのキューブになっている展示室は、幾何学的なプロポーションによって構成された直方体の展示室に入り、ギザのピラミッドの玄室を思いだした。
エジプトでは、石の塊をくりぬいたかのように、厳密な比例による直方体のボリュームが出現していたが、ここでは漂白された白い空間が屋根をつき抜ける。
金沢虹世紀美術館学芸員のW田が「自分自身が入っていた、もしくはこれから入る展示室の外観を見る」と指摘するように、来館者は各部屋の大きさを目撃することが可能だ(「世界の美術館」展の日本版パンフレット「日本から未来へ」二〇〇四年)。
つまり、円よりも自律したそれぞれの展示室の形態のほうが強い。
その結果、矩形の森のなかを散策するような体験を味わう。
各部屋を媒介する空間としての円。
公園のなかに白い直方体のパビリオンが林立し、透明な皮膜である円形のガラスがそれらを包むかのようだ。
展示室はどれも直方体だが、サイズや照明の方法によって、多様な空間を提供する。
いろいろな箱が林立する環境は集落と似ていよう。
いや、小さな都市を歩くような感覚というべきか。
街では、同じような家が並んでも、すべて違う。
この美術館で反復され枠だが、サイズや照明の方法によって、多様な空環境は集落と似ていよう。
いや、小さな都矩形の空間も、それぞれに表情をもつ。
シンプルでありながら、多様であること。
ここでは見え隠れし、長い通路や角を利用して、人と人の関係を様々に設定しうることから、興味深いパフォーマンスが演出できそうだ。
見学に訪れたシーラカンスのK嶋一浩は、学校建築としても使えると述べたらしい。
おそらく、新しい図書館や事務所にもなりうるだろう。
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